2019年6月定例会 青木永六議員の一般質問
JUGEMテーマ:共産党(日本共産党)
以下は四国中央市議会の2019年6月定例会における青木永六議員の一般質問です。
1.プライバシーの脅威を拡大するマイナンバー問題について
1)あの手この手で、カード取得押しつける国の動向等
2)プライバシー侵害大の戸籍事務との結びつき等
3)各種申請や届け出書類の個人番号記載等
2.あまりに高過ぎる国民健康保険料の引き下げを求めて
1)兆円の国費投入で制度間の格差是正を求める
2)子供の均等割減免を求める
3)延滞問題について
3.「改革工程表2018」が示す高齢者施策の方向について
1)医療・福祉サービス改革、給付と負担の見直し等について
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青木永六議員
本日最後の質問者でございます。皆さん大変お疲れだと思いますけども、どうか最後までよろしくお願いをいたします。
それでは、早速通告に従いまして質問に入らせていただきます。
最初の質問は、プライバシーの脅威を拡大するマイナンバー問題についてであります。
去る6月10日、NHK朝7時のニュースで2018年1年間の不正アクセスによる個人情報漏えいは90件で、前年比23件増、うち最大は57万人分の個人情報が漏えい。闇サイトでのIDやパスワード、通販サイトなどから流れたとのことで、巧妙になるサイバー攻撃が問題とし、全世界では1日1億1,000万回以上の不正アクセスがあると言われているとも報道していました。果てしなく進むIT社会の中で、個人情報漏えいも一段と進んでいることがうかがえます。
マイナンバーは、御案内のように、赤ちゃんからお年寄り、在日外国人を含め国内に住民登録した全ての人に12桁の番号を割り振り、目的として、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤とされ、国会質疑などの過程では、初期導入に2,000億円から4,000億円、運営経費が年間数百億円と言われ、この上自治体の持ち出し、公的団体も含む各事業所の経費、制度変更後とのシステム改修費用などを含むと当初からとてつもない莫大な経費の必要性が大問題になっていました。当市のこれまでの費用の総額は約2億円で、うち国の補助金は約1億4,000万円、6,000万円近くの持ち出しとなっています。制度開始から4年目に入りましたが、国の情報管理への警戒感、手続の煩わしさなどから番号カードの普及は全国平均13.16%、当市は6.96%とほとんど活用されていないのが実態であります。
1)あの手この手で、カード取得押しつける国の動向等
青木永六議員
そこで、1つ目の問題は、あの手この手でカードの取得を押しつける国の動向などについてであります。
安倍政権が2014年に改定した日本再興戦略が、情報の利用を金融、医療、介護、健康、旅券、自動車登録から戸籍にまで拡大し、国民の不安に応えず仕組みを次々広げ、使わざるを得ない状況にすることに必死であります。今国会では、2021年からマイナンバーカードを健康保険証としても使用可能にする健康保険法の改定案、2つ目に行政手続を電子申請に統一するなどのデジタル手続法案、3つ目として、戸籍事務とマイナンバー制度を結びつける戸籍法の改定、これは5月、衆参両議院可決ということになっております。このように際限のない利用拡大に走っており、プライバシーの重大な脅威となっています。
直近の発表では、政府が普及に躍起となっている顔写真つきのマイナンバーカード取得者は、さきにも紹介をいたしましたように国全体で約13.16%、当市が6.96%にとどまっています。そして、内閣府の世論調査でありますけども、昨年の11月、内閣広報室が発表をいたしました。それによりますと、今後も取得の予定なしが53%、うち必要性が感じられないが6割以上、個人情報の漏えいが心配だからが26.9%、紛失や盗難が心配だから、これが24.9%となっています。
このような中、国から示されている今後の自治体の取り組み事例の中に、1つは証明書のコンビニ交付の拡大、2つ目として自治体、民間のポイントカード、チケットレス化としての活用、3つ目に医療保険の資格確認、これは医療機関での資格確認のオンライン化、次に銀行等の金融機関のインターネットバンキングなどが上げられています。
そこでお尋ねをしたいのは、必要性が感じられないが6割以上の内閣世論調査の実態が、全国平均13%に対し、市の交付率6.96%にあらわれているように思うわけですけども、この点どのように考えられるか、これが1つです。
いま一つは、国が示す取り組みで普及が大きく伸びると思っているかどうか、この点について考えを聞きたいと思います。
副市長
お答えをいたします。
2016年1月から運用開始をされましたマイナンバー制度による行政サービスの電子化、今これによってマイナンバーカードの利用がさまざまなセクションに拡大されております。今後、日常生活に欠かすことのできないカードになります。そうしたことから、現在では青木永六議員御指摘のとおり、当市のマイナンバーカードの交付率6.96%と全国平均を下回っております。これは御案内のとおりです。先ほど申し上げましたように、さまざまな活用策が講じられており、今後もそのようにシフトしてまいりますけども、現時点では日常でカードそのものの必要性は今のところ余り感じない。それとまた、機会も少ない。このことにあわせて、青木永六議員も述べられておられましたけども、決してそうではありませんけども、紛失でありますとか、個人情報の漏えいリスク、そうした安全性への懸念が普及への一つ足かせ、交付率の低調になっている、そのように考えております。
それと、これらで普及が大きく伸びるかということでありますけども、日常必要になってまいりますから、必然的に普及していくものと考えております。
青木永六議員
先ほど御指摘をいたしましたように、使わざるを得ないようにしていく、そこに追い込んでいくという国の姿勢の中で、副市長もそういう方向になっているんではないかというふうに答弁をされておりますけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、個人情報の漏えいが心配だからという人が26.9%、約3割今の時点でおいでる。紛失や盗難が心配だから、ああいうふうなのを合わせると約半数の人がおるわけで、そう単純なものではないのではないかと思うわけでありますけども、そこで先ほど国の取り組みの中で御紹介をいたしました、自治体、民間のポイントカード、チケットレス化としての活用、これはどのようなものなのかということにあわせて、銀行、金融機関のインターネットバンキング、具体的にこれらはどのようなものなのかをお尋ねをしたい。
あわせて、これら国が示すものについて市が着手をするとした場合に、費用がいかほど必要なのかあわせてお尋ねしたいと思います。
副市長
マイナンバーカードの低調さ、これはやはり個人情報の漏えい等々で心配という部分が大きなウエートを占めとる思うんですけども、プライバシーの脅威を拡大するようなそういう部分も交付率の低調さにつながっているのかなと、そんなふうにも思っております。
それと、先ほど御質問がありました自治体の民間ポイントカード、それからインターネットバンキングなどによるものにつきましては、現在のところ詳細な運用上の見解をまだ示されておりませんけども、大まかな内容だけ申し上げておきます。
1つ目の自治体のポイントカード、これにつきましては、健康イベント、これはいろんな形でポイント制を導入している自治体はあるんですけども、この健康イベントでありますとか、住民活動に参加した場合の自治体が任意で発行しとるポイントで、これをマイナンバーカードにポイント機能を付加し、そして利用者に活用していこうと。またクレジットカード、民間でのポイントを実際のマイナンバーカードのポイントに変換できて、いわゆる地域経済を支援すると、そういう仕組みであります。また、さらに自治体のプレミアムポイントも、これも付与するというような状況になっております。
それと、チケットレス化への運用でありますけども、イベント会場等々に入場する場合に活用するほかに、チケットの不正あるいは転売の防止策を講じたい、そういったことも視野に入っておるようでございます。
それから、バンキングにつきましては、マイナンバーカードでログインすると残高照会、これも可能になるというようなことであります。
それから、コンビニでの住民票の交付とかそういった部分のことについての経費でありますけども、それぞれまだ確かな試算はしておりません。一つコンビニの交付の部分は数千万円程度要るんではないかなと、個人的な部分ではそう見込んでおります。
それからあと、先ほども申し上げましたけども、これから国策として社会基盤に、マイナンバーカードの活用、これが推進されてまいりますから、これから必然的に、日常にはこのカードが必要不可欠になる、そういうものになってまいりますから、そうするとこれから行政の事務効率もスピードアップしますし、また市民の皆さんにとっても利便性や有益性、これが格段に増してまいります。そうしたことから、個人情報の安全性にもときながら市民の皆様にこうしたことをインフォメーションしながら、そして交付率の向上あるいはその安全な運用に今後取り組んでいきたいなと思っております。
青木永六議員
今、答弁がございましたように、自治体、民間のポイントカード、そこまでしなければならないのかという気がするわけですけども、まさに私が指摘をしておりますけれども、あの手この手だなと。そこまでしゃにむに国民に普及をしようとする狙いは一体何なのかというふうに思うわけですけど、お互いに真剣に考えなければならない問題だろうと思います。
2)プライバシー侵害大の戸籍事務との結びつき等
青木永六議員
次の質問に入ります。
2点目は、プライバシー侵害大の戸籍事務との結びつきなどについての問題であります。
5月24日、マイナンバーと戸籍情報をひもづける戸籍法改正が参議院で強行可決をされました。日本弁護士連合会は、国民の利便性の向上及び行政運営の効率化の観点から、戸籍制度の合理化、効率化や電子化の検討は必要であるとしても、マイナンバーと戸籍情報をひもづけする必要はないだけでなく、プライバシー侵害の危険性が高くなる、また費用対効果の観点からも問題がある。よって、戸籍情報と個人番号はひもづけしないことを求めるとの意見書を関係各大臣に提出をしています。
これからは、以下は我が党の藤野保史衆議院議員が5月10日に衆議院法務委員会で質疑をし、明らかにされた点を御紹介をいたします。
まず、情報漏えいです。
2018年度上半期まで、わずか2年余りで漏えいが779件に上り、うち15件が100人分以上の情報漏えいなどの重大事故、うち10件が事業者による漏えい。戸籍情報(戸籍謄本)が情報屋の売買対象になっている、これは平成23年に司法書士、行政書士がかかわる戸籍の違法収集事件で1件1万円で取得したものが、次の段階では1万2、500円に、さらに次の段階では2万3,000円で転売されていたことが明らかにされ、取引総額が5年間で12億円を超えると指摘をしています。現状でも、このような侵害がある中、しかもひもづけの制度設計やシステムの仕様も決まっていない段階であり、とても強行可決などは考えられないことであり、許されません。戸籍はこれまでの金融あるいは医療などと質的に違い、直系、傍系の親族関係や身分関係などのプライバシー情報の塊であります。他の情報と同列には扱うべきでない。マイナンバーとひもづけてさらに拡大のおそれがあり、やるべきは違法収集や漏えいの防止と指摘をしています。
そこで、1つの問題は、四国中央市に要求をしたいわけですけども、今後国の言いなりでこの戸籍情報とマイナンバーをひもづけしないことを求めたいと思うわけであります。答弁をお願いします。
市民部長
お答えいたします。
戸籍法の一部改正により、マイナンバー制度への参加が定められたところですが、これによって社会保障に関する行政手続において従来は必要だった戸籍謄抄本の添付が省略できることになります。あわせて、戸籍の届け出においても添付が省略でき、また本籍地以外での戸籍謄抄本の発行もできるようになるなど、これらによって、住民の利便性が高く、また行政の効率化にもつながるものであると認識しております。当市はその実現に向かって推進していきたいと考えております。
青木永六議員
これは日本弁護士連合会も、冒頭御紹介しましたように、最初から反対し問題点の指摘をしております。
先般の衆議院の法務委員会での質疑の状況を見ましても、大臣もまともに答弁できない状況で、今申し上げましたように、どういう形でひもづけをしていくのかというようなことも決められていないという状況なんですけども、私も指摘しましたように、戸籍というのは非常に重大な情報の塊でございまして、単に行政の利便性とかそのようなことで考えられてしまうんでは大変国民にとっては困る問題だというふうに思うわけでありまして、先ほども御紹介しましたように、情報屋の金もうけの対象にされておるということですから、ひもづけされるとこういうことがさらにさらに拡大をしていくということは目に見えとるんではないかと思うわけであります。
そういう点では、単純に行政の効率化とか、住民の皆さんの利便性とかというようなことではなくて、少なくても慎重の上にも慎重に扱っていくという市としての姿勢が必要になるんではないかなと思いますけれども、最後答弁を求めます。
市民部長
お答えいたします。
戸籍は、議員さんがおっしゃるとおり、大変重要なものと、ほかの制度の情報とはまた違ったものと認識しております。国の制度面とかシステム面、そういった個人情報を保護するための厳格な安全対策等が講じられる予定でございますので、これを遵守していきたいと考えております。
青木永六議員
慎重に扱っていただくということをお願いをいたしまして、次に移ります。
この問題の法律の中で、国会答弁にもありましたけれども、国は法律の中で罰則規定を設けて保護措置をとっているというふうに答弁をしています。しかし、完全な防護策があるのかというふうに思うわけで、おおむねこの道の専門家の皆さんはそれはないだろうというふうにお考えられているようなのでございますけれども、現時点で市のほうのこれに対する防護策に対し、完全なあれはあるのかと、どのように認識をされておりますか。お尋ねをいたします。
市民部長
お答えいたします。
議員御承知のとおり、情報漏えいや不正利用に対しては、システムの安全性、信頼性確保のための法制上の保護措置がとられております。また、設計等の秘密保持義務や義務違反に対する罰則、またそれら不正提供した場合の罰則などが設けられておるのが現状でございます。
完全な防御策はあるのかとのことでございますが、今回の運営に対しましては、システム上の保護措置について情報の送受信を行政機関相互間の専用ネットワークにする、また不正参照を防止するシステムであるとか、そういったことが定められておりますので、これらの遵守により漏えい防止が図られているものと考えております。
青木永六議員
市の公式答弁で完全な防護策はありませんなんかということもなかなか言えないと思いますけども、この件についてもひとつお勉強をしていただくということで、さらに前へ進みます。
3)各種申請や届け出書類の個人番号記載等
青木永六議員
3つ目は、市の申請や届け出書類に個人番号の記載を書くようになっています。この問題についてであります。
市の各種申請書や届け出書など、今そのほとんどに個人番号を書く様式になっています。担当から提出してもらった範囲では、市民窓口センターを含む8課167種類の書類に個人番号の記入が求められています。
昨年、私の知人が市営住宅の申請に行ったところ、個人番号がわからなく書けないので帰ってきたという話を聞かされました。先ほども紹介しましたように、当市の番号カード普及が6.96%、これに示されていますように極めて低調ですから、窓口でいきなり記入できる方は非常に少ないと考えられます。本来個人番号が記入されなくても、役所の業務に直接影響はないのではないか、記入できないために市民が出直さざるを得ない、このようなことがあれば全く迷惑な話であり、実質的に大きなサービスの後退だと思うわけであります。
そこで確認ですが、年金の各種届け出書や市県民税の申告書、市営住宅申込書など、それぞれの申請、届け出書で個人番号の記入がないと関係部署の仕事ができないものなのか、これが1点。また、記載は法律上の義務なのか、これらについて答弁を求めます。
市民窓口センター所長
各種申請や届け出書類の個人番号記載等についてお答えいたします。
議員御案内のとおり、マイナンバー制度の施行に伴いまして、当市においても使用する各種多数の申請書、申告書等の様式にマイナンバーの記入欄が設けられております。
社会保障や税関連の部署においては、個人番号利用事務として、実際の業務においてマイナンバーを取り扱っております。市民の方が窓口でされる各種手続において、マイナンバーを記入していただく必要はございますが、マイナンバーの記載がないことを理由に申告、あるいは申請を受理しないという取り扱いはいたしておりません。
また、実務においては、行政事務の効率化、公正な給付と負担の確保という意味でマイナンバーを利用させていただいております。
青木永六議員
1つだけ書類を持ってきました。市県民税の申告書なんですけど、当然申告される方の個人番号欄がある、扶養家族の方にも個人番号を書く欄があります。これは申告書でいったら、国税の税務署もこのようになっています。このようになってましたら、書かないといけないものとして書かれている。お聞きしましたら、市県民税の申告書ではないんだけども、税理士さんなんかの事務所では確定申告時期に申告される方のものを全部調査して記入しよる。大変な事務なんです。
昨年、税務署に行ったときに話を聞いてみました、幹部の方に。これ、記入しないと税務署は仕事ができないんですかと、目的は何ですかと聞いたら、社会保障のどうのこうのって言って、税務署が社会保障にどのような関係があるんですか、税務署は国税徴収、計算したり徴収したりするのが仕事ですよね、まあ言うたら関係ないということを言っておられた。先ほど私が御指摘しましたように、国のほうはあの手この手で、これになじますといいますか、そのようなことを求めておるんですけれども、ぜひ市のほうではこれが記入がないからといって、今答弁がございましたけども、これはだめですという対応はしていないということなので、これからもひとつよろしくお願いしたいということをお願いをいたしまして、次に移ります。
この質問の最後に、皆さんに御紹介をしておきたいんですけども、元日本弁護士連合会情報問題対策委員会委員長の坂本 団弁護士の主張でございます。坂本弁護士はマイナンバーの際限ない利用拡大は監視国家、管理国家化の入り口かもしれないという警鐘を鳴らす中で、このような指摘をしています。彼の本の中から抜粋をしたものを読ませていただきます。
マイナンバー制度は世界の潮流にも逆行している。マイナンバー制度のように1つの番号を官民両分野で広く利用する番号制度はフラットモデルと呼ばれるが、採用しているのはアメリカ、韓国、スウェーデンなどの北欧諸国で、必ずしも多くはないのが現実。フラットモデルの採用国では個人情報の流出や成り済まし犯罪に常に悩まされており、その社会的コストは多額に上る。そのため、ドイツのように分野別に番号を使い分けている国もあれば、オーストリアのように1つの番号ではなくIT技術を活用して行政機関同士で情報連携している国もある。アメリカでは、9桁の社会保障番号SSNが官民両分野で幅広く利用されているが、その名のとおり、もともとは1936年に導入された社会保障給付のための番号だった。それが、納税者の識別番号や銀行口座の開設、クレジットカードの申し込みなど身分を証明する番号としての利用も広がった結果、民間でSSNをキーに大量の個人情報をデータベース化するビジネスが発達する一方、情報流出時のプライバシー侵害の被害が深刻化している。また、SSNを使った成り済まし犯罪も後を絶たず、むしろ不必要なSSNの利用を規制する方向にある。余りに課題の多いフラットモデルのマイナンバー制度は、あるべき社会の唯一の姿でも何でもなく、むしろプライバシーに対する脅威の拡大しかない。
このように警鐘を鳴らしています。ぜひお互いに考えていきたい問題だと思います。
それでは、その点を御紹介いたしまして、次の質問に入ります。
青木永六議員
余りに高過ぎる国民健康保険料の引き下げを求めてです。
政府の経済財政諮問会議や財務省の財政制度等審議会では、国民健康保険の財政運営が主要議題の一つに据えられ、住民の保険料軽減に努力をしている市町村独自の財政繰り入れを早くやめさせることなどが盛んに強調されています。
5月31日の経済財政諮問会議には、経済団体連合会の中西宏明会長らの連名で、国民健康保険の都道府県化を契機に自治体独自の繰り入れの早期解消を促すこと、国民健康保険料アップにつながる都道府県内の保険料水準の統一の促進などを求める文書が提出されました。さらなる引き上げの圧力は許されません。所得は低いのに保険料は一番高い、この不公平を正すのは政府の責任です。国民健康保険加入者の1人当たり平均保険料は、政府の試算でも中小企業の労働者が加入する協会けんぽの1.3倍、大企業の労働者が加入する組合健保の1.7倍です。財界の横暴勝手を許さず、この不公平と格差は一日も早く是正されなければなりません。
1)1兆円の国費投入で制度間の格差是正を求める
青木永六議員
1兆円の国費投入で制度間の格差是正を求める、この点についてであります。
2018年度四国中央市で事業所得250万円、40歳代の義務教育の子ども2人の4人家族、固定資産税が10万円です。この家庭では国民健康保険料は年間47万1,300円になります。協会けんぽの保険料は、月収30万円で本人負担額1カ月1万7,505円、年間21万60円です。もとより250万円に国民健康保険料だけで50万円を超えるのでは、家計は推して知るべしであります。さらに、協会けんぽの半分以下というこの格差、これは比率は所得者の年齢で異なります。これはもう誰の責任でもなく、政府の責任であります。
このような事態を是正するために全国知事会は、御案内のように国民健康保険料を協会けんぽ並みに引き下げるために、1兆円の公費負担増を政府に要望をいたしました。これは2014年です。国民健康保険の構造的問題を解決するためには、公費を投入するしかありません。全国知事会、全国市長会、全国町村会なども国民健康保険の定率国庫負担の増額を政府に要望し続けています。
このような中で、国民健康保険の都道府県化と引きかえに3,400億円の公費投入がされましたが、大きな改善には至っていません。国民健康保険には資格証明書や短期保険証というペナルティーがあり、命を脅かしているという独自の問題もあります。
そこで、1兆円の公費投入で協会けんぽ並みの国民健康保険料を実現する、この切実な声を国に届けていただく、このことを求めたいと思います。答弁を求めます。
市民部長
お答えいたします。
議員御案内のとおり、国民健康保険はほかの医療保険と比べて加入者の年齢構成が高く、医療費水準も高いという構造的な課題があり、加入者の所得に対する保険料負担も高い現状がございます。これは、協会けんぽなどの被用者保険と異なり、国民健康保険には事業主負担がないことも影響しているところでございます。
御質問の、1兆円の国費投入の要望でございますが、このことについては、議員御指摘のとおり、2014年に全国知事会が国民健康保険の財政基盤を強化するために必要な財政支援の一つの試算として例示したものと承知しております。国民健康保険を持続可能な制度とするためには、これが大変重要な課題であると認識しているところですが、国庫負担の増額については全国市長会や全国町村会においても継続して求めているところでありまして、また昨年度国民健康保険広域化や公費投入もなされたところでありますので、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。
青木永六議員
今後の動向を注視するということですけど、最初御紹介しましたように、経済界は逆に圧力をかけてきておるという状況の中ですから、改めて自治体の側から加入者の立場を考えると、ぜひ国に大いに意見を上げていくというようなことで努力をしていただきたい。このことをお願いをしまして、次に移ります。
2)子どもの均等割減免を求める
青木永六議員
2番目は、子どもの均等割減免を求める、この問題についてであります。
世帯員の数に応じての均等割、世帯に定額負担の平等割は、国民健康保険料の逆進的負担にしている元凶です。応益割には低所得者への法定軽減、7割、5割、2割がありますが、例えば現役世代の単身世帯だと、所得が84万円で何の減額も受けられなくなる、対象は非常に限定をされています。均等割はゼロ歳児にもかかります。40歳代で1人4万4,480円、30歳代で3万4,880円となっています。子どもの数が多いほど国民健康保険料が引き上がるこの均等割には、まるで人頭税という批判が高まっています。今、全国で岩手県宮古市の完全免除を筆頭に、子育て支援の立場から子どもの均等割減免が取り組まれております。子育て支援の立場からも減免を求めるものであります。
そこで、当市が15歳、あるいは18歳までの子どもたちに均等割減免を実施をする場合、対象人数と必要な予算額をお示しをいただくと同時に、この実施を強く求めたいと、このように思うわけであります。答弁を求めます。
市民部長
子どもの均等割減免を求めることについてお答えいたします。
議員御案内のとおり、国民健康保険料には加入者の人数に応じて算定される均等割がございます。この均等割は国民健康保険独自のものですが、子育て世代に限らず所得の低い世帯についてはその所得に応じて均等割などの応益割合が7割、5割、2割と軽減される法定軽減がありますので、これについては所得照会等により負担の軽減に努めているところでございます。
子どもの均等割減免を実施する場合の対象人数と必要額でございますが、平成30年度の保険料算定時においては、15歳までを対象とすると人数は959人、必要額は3,349万9,920円、18歳までとすると1,190人で必要額は4,150万7,200円となります。
なお、この必要額でございますが、先ほど特に申し上げました低所得者の世帯につきましては、法定軽減が適用されますので、実際には減額後の金額となるところです。
子育て支援策については、当市でもさまざまな施策を行っておりますが、均等割減免につきましては国民健康保険の安定的な運営なくして実現はできないものと考えております。全国市長会からもこの件については国に提言をしておりますことから、今後国の動向等を注視してまいりたいと、そのように考えております。
青木永六議員
15歳、18歳を対象にするとそのようなことなんですけども、もう一つお尋ねするんですけども、この基準をもう少し下げて、就学前までの子どもというふうにした場合は、人数と金額が幾ら分の予算が必要でしょうか。
市民部長
お答えいたします。
対象を就学前までとした場合でございますが、その人数は358人、必要額については1,248万7,040円でございます。
青木永六議員
これが358人、約1,200万円とおっしゃいました。ぜひ篠原市長、前向きにお考えをいただいて、子育て支援という立場と高過ぎる保険料を少し負担を和らげるという立場からもひとつ考えていただきたいと、このことをお願いをいたしまして、次の延滞問題に移ります。
3)延滞問題について
青木永六議員
4月1日現在の国民健康保険の延滞保険料は9,344万9,831円、延滞金の請求額としては185件、75万2,200円、うち徴収したのが28件で7万6,700円、5月20日現在、差し押さえはなしというような報告を受けております。延滞金は、御案内のように、多くの場合払い切れない保険料であるがゆえに発生をするものであり、そこを理解をした徴収を求めたいと思うわけであります。納付困難者には親身な相談に応じながら対応したいとのこれまでの答弁が再三ございますが、具体的にどのように対応をされているのか、具体的な件数や事例などの説明を求めます。
それとあわせて、延滞金の減免規定との関係で、4月1日より、市長がやむを得ない場合、この基準をつくるという約束でございました。どのようになっているでしょうか、お尋ねをいたします。
市長
延滞問題について私のほうから答弁を申し上げます。
国民健康保険事業は、御案内のとおり、保険料の納付を根幹として運営しており、延滞金の徴収についても、納期限を守って納付されている被保険者との公平性を重視するものであります。
納付困難者に対する対応につきましては、被保険者の生活を尊重し、無理せず滞納金の解消を図っていただくためにも、面談によって生活状況を丁寧に聞き取ることが大切と考えております。
これまでの具体的な対応例では、納付誓約履行中の方の御家族の入院等で納付計画の見直しを行った例、また納付相談の際に健康状態やお仕事の状況について2時間かけて丁寧にお話を伺い、状況に合う納付計画を一緒に考えた例など、平成30年度では納付計画に至った相談は142件ありました。
また、延滞金の減免につきましては、四国中央市督促手数料等の減免に関する取扱基準に沿って対応したいと考えておりますが、納付能力がありながら国民健康保険料を滞納している悪質な滞納者に対しては公平性の確保のためにも引き続き厳正に対処したいと考えております。
以上です。よろしくお願いします。
青木永六議員
生活困難者には丁寧に相談に応じて歩む状況報告がございました。引き続き納付見直しなど丁寧な相談に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、先ほどの延滞金の市長が認めた場合というところで、その文書には生活保護に準ずるという文言が入っておるわけでございますけども、この生活保護に準ずるというのはどういう場合なのかということをお尋ねしたいと思います。
市民部長
延滞金の減免につきましては、先ほども答弁しましたとおり、まず生活の実態を丁寧に聞き取る、これが重要であると承知しております。生活実態が保護基準に該当する場合とは、申請すれば保護が認められる場合、そういったことを想定しております。この場合には減免の対象とするものでございます。
青木永六議員
部長の答弁では、この生活保護に準ずるというのは、生活保護を申請をすれば認められるという状態の人だという答弁。そしたらあれですか、生活保護係にその状況、申請をしてみにゃいかんのか。
市民部長
先ほども答弁いたしましたとおり、生活の状況を丁寧に聞き取るということです。その中で生活の状況が生活保護に該当するような場合には減免をしていくと、そういうことでございます。
青木永六議員
私、しつこいようですけども、通常でしたらこういう場合は内容も聞き取って、非常に生活が苦しいなと、おおむね皆さんの立場から見てこれはもう生活保護に準ずるのではないかというふうに判断をされるというふうに私自身は考えておったんですけども、そういうんではないのかな。
状況を生活保護係に持っていって、これなら保護認定できるのかというようなところまで行かないと、この準ずるという定義にいけるということにならないわけ。
市民部長
これは、家族の状況とかさまざまな状況がありますので、そのあたり、家族の実態とかを調査しまして判定をしていくということです。
青木永六議員
時間が余りないのであれなんですけども、ぜひお勉強をしていただいて、普通は私からお話し申し上げましたように、この人の生活の今の状況は保護に準ずるというような、皆さんが資料や話の聞き取りの中で判断をされる。一々、お一人お一人生活保護係に持っていってこの人どうなのかというて……。
そりゃないと思っておりますので、ぜひひとつ円滑に行政が進むように検討もしていただきたいなと思うんです。
この点に関してもう一つ私が申し上げたいのは、昨年から4月1日から国民健康保険料も延滞金を徴収をするということを言ってまいりました。私の認識は、4月1日以後発生をする保険料滞納の発生分から延滞金を徴収するというふうに認識をしておったわけでございますが、実は違うと。今、御紹介しましたように、4月1日時点で過年度分、過去の分で9,344万9,000円の延滞金がある、これに対しても延滞金を徴収しますというのが市の立場ということになっており、事前の文書にはここまで言及をして事細かく書いてなかったというふうに理解をしておるんですけども、そういう意味で9,344万9,000円の延滞保険料に対して延滞金っていうのは数百万円になるんではというふうにも思うわけで、これは大変な額になるし、特別な計らいが必要ではないかと、このように思うわけですけども、どうでしょうか。
市民部長
お答えいたします。
今回の延滞金の徴収につきましては、4月1日以降の徴収ということで、事前に被保険者の方にもお知らせはしております。その上で金額が確定したからには生活の状況を聞き取って必要な対応をしていきたいと、そういうふうに考えております。
青木永六議員
今、私が指摘をしましたように、どちらにも解釈ができる文章であったのではないかと思っておるわけですけども、どちらにいたしましても、冒頭から申し上げましたように非常に高過ぎる保険料でこういう事態が起こっているわけですから、そこらをよく理解をしていただいて徴収に当たってほしいと思います。
最後の質問に移ります。
1)医療・福祉サービス改革、給付と負担の見直し等について
青木永六議員
「改革工程表2018」が示す高齢者施策の方向についてという問題についてでありますが、正確には昨年12月20日に決定された新経済・財政再生計画改革工程表ということになっております。重要課題を、予防・健康づくり、多様な就労・社会参加、医療・福祉サービス改革、給付と負担の見直しとしている。この中で、私がお尋ねをしたいのは、医療・福祉サービス改革、給付と負担の見直しなどについてでございますけども、特にこの中で後期高齢者の医療と保険料負担の増大についての方向が出されていますが、この点について可能な限り具体的でわかりやすい説明をまず求めたいと思います。
国保医療課長
お答えいたします。
議員御案内のとおり、国の経済財政諮問会議で「改革工程表2018」が示され、高齢者施策についても検討されていることから、市といたしましても引き続き国の動向を注視していくこととしております。
まず、工程表では世代間の負担の公平を図り、制度の持続可能性を高めるため、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、後期高齢者の医療費自己負担割合の見直しについて、団塊の世代が後期高齢者入りする2025年までに検討することとされております。このため、現在のところは決定事項ではございませんが、仮に自己負担割合が1割から2割に変更されることとなれば、現時点の数字で申しますと当市では1割負担の対象者1万3,537人に影響がある見込みです。また、月間の平均自己負担6,028円が2倍になる試算でございます。
次に、保険料につきましては、本年度からこれまで特例が適用されておりました均等割額の軽減について、段階的な縮小が実施されることになっております。内容といたしましては、軽減判定所得が33万円以下の方は2年後に本来の7割軽減となるよう段階的に軽減割合が変更されます。
具体的に申しますと、昨年度までの9割軽減区分の方は今年度8割軽減に、さらに来年度は7割軽減に変更となります。また、現在の8.5割軽減区分の方は来年度7.75割軽減に、2021年度には7割軽減となります。
今年度の愛媛県後期高齢者医療広域連合の均等割額4万6,374円で計算いたしますと、軽減率1割で年間4,640円、軽減率0.75割で年間3,480円の保険料が上がる試算となります。
なお、当市におきまして9割軽減の対象者は2,912人、また8.5割軽減の対象者は3,699人でございます。
今回の軽減特例の見直しにつきましては、介護保険料の軽減拡充や年金生活者支援給付金の支給などの支援策とあわせて実施されるものでございまして、所得の低い高齢者の方や年金受給者の方に配慮するものとなっております。
なお、被保険者の方には7月の保険証発送にあわせて御案内の予定でございます。
青木永六議員
今、御説明があったとおりなんですけども、当面国民健康保険は生活の困窮者については一定の配慮をするということでございますけども、それはずっと配慮をするということではない、当面ということでございます。そういう意味でこの「改革工程表2018」が示す高齢者施策というのは、先般、95歳まで生きるには2,000万円の預金が必要だということに示されているように、非常に高齢者に厳しい、高齢者いじめと言わざるを得ないような政権のあり方が示されていると、このことを申し上げまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
- 2019.06.26 Wednesday
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